行定勲『きょうのできごと』

柴崎友香の同名小説の映画版。DVD借りてきて観た。
原作は積読状態でまだ読んでないんだけど、まあ楽しめたかなと思う。本当に面白いのかって胸座つかまれて問われるとあんま自信ないけど、とりあえず退屈はしなかった。
ここで描かれてる「若者」像っていうのが、凄く偏重したものでかつある種のイデオロギーに囚われ過ぎている感は否めなかったし、時間軸の置き方っていうか、それは単純に演出の問題なのかもしれないけど、もっうちょっと工夫すればもっと面白くなったのではないかとぼんやり考えさせられたけど、でも終始淡々とした物語展開っていうか、わりとフラットな部分での感情の露出が極力抑えられててそこには好感を持ちました。
あと『ジョゼと虎と魚たち』のときも思ったんだけど、妻夫木聡の演技がちょっと下手すぎ。下手すぎなんだけど『ジョゼ〜』でもそうだったように、その下手さ加減っていうのが作品そのもののどうしようもない感じ(駄作とかそういう意味では全然ない)とよくマッチしてて、この中沢っていう男の配役は妻夫木以外にないだろうな…とかちょっと思った。
で、そのこととも関連してるのかもしんないけど、この物語は数人の登場人物たちの日常っていうかなんでもない1日の「できごと」を描いてるわけで、そのありきたり性っていうか、むしろそこにある「できごと」が登場人物たちの日常として特権化されえない、逆に言えば観客によって我有化されないって部分にある面白味があるって誰か忘れたけど知人に聞いたことがあって、でもやっぱ妻夫木にしろ田中麗奈にしろそれぞれの登場人物の顔や声や動作を代替してしまっているというか、それこそ映像メディアの中で表現してしまっているわけで、そこには確実に「できごと」の多声性を抑圧してしまう契機って含まれてるよなーって感じた。っていうかでもそれってこの作品が製作されて「しまった」ことと不可分のジレンマだし、そのジレンマってなんか映画作品にとって根本的なジレンマのような気もする。

ていうかもう夜明けが滅茶苦茶ちかいんだけど、私、明日面接じゃん。履歴書書かなきゃじゃん。そして寝なきゃじゃん。