保坂和志『小説の自由』

購入してから一回読んで、そのあと今夜みたく眠れない夜とかに適当にページを開いて読んだりしてるのだけど、いやほんと面白い。面白いっていうか、端的に興奮してくる。過度の興奮は睡眠の妨げになるのではないかとも思うのだけど、まあいいや。
それでその興奮はもちろん語られていることが私の好奇心を大いに刺激する内容であるという部分にも起因しているのだろうけど、それ以上に保坂和志の考え方みたいなものに対して覚えられる感覚なのではないかなと思った。考え方というのは文字通りの考え方で、つまり思考の結果ではなくって思考のプロセスというか、最初の一文字を書き始めてからその章の終わりの句点を書き終えるまでの紆余曲折する思考の軌跡のことだ。その結果導き出される結論*1に私はあまり興奮しなくって、ただこういうふうな考え方でものを考える人がいるっていうそのこと自体にアドレナリンの放出を感じる。
ていうかこの本は大学1年生の春休みに読みたかった。ほんと。

*1:つーか本書にかぎって「結論」っていう言葉は全然相応しくないんだけど。