オーノキヨフミ『君に太陽を』

前々から注目してた人ではあったんだけど、その注目をするきっかけになった曲がこのアルバムには入ってないってことと、佐久間正英がプロデューサーだってことで、借りようかどうしようかしばらく躊躇してたんだけど、いや、聴いてよかった。
全然かっこよくないんですけどね。むしろ、どっちかって言うと滅茶苦茶ダサいポップスソングなんじゃないかとさえ思える。でもその「ダサさ」が逆に格好いいっていうことは往々にしてあるわけで、この「ダサ」かっこよさってオーノさんが狙ってやってるんだかやってないんだかわからないけど私には明らかに前者に聴こえてしまったということです。
たぶん明日になったら自分でも何を言ってるかわからないんだろうけど、ただポップスソングをポップに歌うことの困難さって並々ならないものがあるんだろうなとは思う。それはもちろんアーティスト側だけじゃなくて聴き手側に属する要因が絡んでくる、すぐれて他律性を介在させた問題でもあるんだろうけど。でもこのアルバムはほんとにポップスをポップに聞かせてくれてて、全然スタイリッシュに回収されない「ダサさ」は少なからずそのことに貢献しているんじゃないかなーと、そんなことを考えたりしてる。まあでもアルバム一枚を通して高揚感が持続したのは実に久しぶりの経験でした。
あととりあえず、歌ってるときは堺雅人にしか見えない端整なこのルックスであの声はありえないだろーと、ちょっと突っ込みたかったので突っ込んでおく。

君に太陽を!